12
12月
事情が許せば、大抵山野ミュージックサロンの生徒さんの発表会は4月と10月だ。発表会というとなんだか堅苦しいので、名称をSingin’ Partyにしている。
もう12月になってしまったけれど、10月のSingin’ Partyの思い出を書いておこうと思う。
今回は総勢42曲。ソロ41曲にコーラスが1曲。ピアノ弾き語りあり、ウクレレ弾き語りあり。全曲重ならないように選曲に趣向を凝らしているのだけれど、そのせいで、みなさん選び始めるのが前の発表会の後すぐ。
終わるとみんな一様に、みんな上手になってるね、と感想を述べる。上手いかどうかはよくわからないのだけれど、毎回、涙が落ちるのをこらえるのに必死なことが増えた。一生懸命に歌っている姿を見るだけで、よく頑張ったよね、と感動して涙腺が緩む。
倒れずに怪我せず死なず歌い終わって席に戻る、というのをみんなに対しての目標にしているけれど、各々はもっとこう歌いたいとか、こういうチャレンジをしたいとか、私よりもずっと目指すところが明確にあるようだ。
歌うのは楽しい。でも、より深く歌おうとすると、必ずハードルが現れて、目先の楽しさは失せてしまうこともある。その時に、難しい!と感じるのか、えーやってみるーと思うのかで進む道は変わる気がする。
ハードルを一つ越える。ホッとしている間もなくまたハードルが表れる。
その、繰り返し。
でも、来た道を振り返れば随分遠いところまでこれたじゃん?と自負できる日も来る。
それでも、健康あってゆえのレッスンで、9月の終わりに、闘病中のある生徒さんから、もう緩和ケアに入るので、レッスンに通えなくなった、というメールをいただいた。毎回その方もSingin’ Partyを楽しみに頑張っていてくれたのだけれど。もちろん、どうにか戻れるように、エネルギーを注いできたのだけれど。
その方が最後に出られたSingin’ Partyで歌われた曲を、その時の歌唱がとても素敵だったからと選曲した生徒さんがいた。
もちろん歌っている人は違うけれど、そのように、音楽を通して繋がりあっていくのだなと、私はこれから、いろんな曲の中で、いろんな風景の中で、ふとした瞬間に、もうこれなくなってしまった生徒さんと再び出会うのだろうな、と感じた。
教え始めて10年。始めたばかりのころは私に教えられることなど何一つないと、これは長く続くまいと思っていたけれど、生徒さんたちのきらきらとした情熱に出逢い、育てていただいた。きっとこれからも、そう。
節目だからと言って何があるわけでもなく、ただ、いい歌を聴きたいというそれだけで、やはり前に進んでいくのです。
私には私なりのハードルが現れますが、全てのハードルは乗り越えられるから目の前に現れるのであって、一つ一つ丁寧に乗り越えながら?なぎ倒しながら?やり過ごしながら?楽しく笑いあっていこうと思います。
生徒の皆様に、そして、サポートしてくださったベースの安田幸司さん、ピアノの三木成能さん、ドラムの則武諒さん、そして会場のサムタイムの店長やスタッフの皆様、山野のスタッフの皆様に、
深い愛情と、感謝を。
ありがとうございました。